アルミ溶接材料完全ガイド:用途別おすすめと注意点
アルミニウムおよびアルミニ合金の溶接材料
アルミニウム合金は、その軽量性、耐食性、加工性から、様々な分野で利用されています。溶接を行う際には、適切な溶接材料を選ぶことが重要です。ここでは、JIS Z 3604(アルミニウム合金溶接材料)の表も参考にしながら、アルミニウム合金の種類と溶接材料について解説します。
1000シリーズ(純アルミ)
一般に純アルミと呼ばれる材料で、溶接材料としてはA1070、A1100などが用いられます。
溶接時の注意点: 熱伝導率が高いため、他の材料よりも若干低めの電流値で溶接するのがポイントです。陽極酸化皮膜処理(アルマイト)をすると、非常に綺麗に仕上がります。
2000シリーズ(Al-Cu系)
銅のほか、マグネシウムやマンガンなどを含む合金で、ジュラルミン、超ジュラルミンと呼ばれています。
溶接時の注意点: クラックが入りやすいので注意が必要です。溶加棒の選定では、A4043、A4145、A4045、A4047、A2319などが挙げられます。
- A4043、A4045、A4145、A4047は、シリコン含有量(5%~13%)により区別されます。
- これらの溶接材料は市場での調達が困難な場合があり、一般的にはA4043が使われることが多いようです。
- 強度が必要な場合は、JIS Z 3604でも推奨されているA2319を用います。温度管理をしっかり行い、A2319を用いることで、問題なく溶接できます。
3000シリーズ(Al-Mn系)
非熱処理合金で、純アルミよりやや強く、溶接性も良好です。溶接材料にはA5356、A4943を用い、用途によりA4047Aを用います。
5000シリーズ(Al-Mg系)
5052が代表的な合金で、中程度の強度を持ち、最も広く使われています。5083はMg含有量が多い合金で、非熱処理合金としては最も優れた強度を持ち、溶接性も良好です。船のデッキによく使われるそうです。溶接材料にはA5356、A5183などが挙げられます。JIS Z 3811アルミ溶接技能検定では、母材に5083、溶接材料にA5183で検定試験が行われています。
6000シリーズ(Al-Mg-Si系)
熱処理合金で、押し出し材や形材などに使われており、強度もあります。6063などがアングルやチャンネルなど構造物に使われています。稀なケースではありますが、A6061も溶接が非常に優れています。溶接材料にはA5356を用います。
7000シリーズ(Al-Zn系)
アルミニウム合金中最も高い強度を持つ亜鉛系合金と、Cuを含まない溶接構造用合金に分かれます。熱処理合金としては、優れた継手効率が得られる7N01、7003が溶接構造用材料として鉄道車両、オートバイフレームに用いられます。溶接材料としてはA5356、A5183を使用します。
まとめ
溶接材料の選択には、JIS Z 3604に示されている表を用いて組み合わせを適用しましょう。組み合わせを間違えると、溶接部に割れが発生したり、機械的強度が目標通りに出なかったり、耐食性が劣ったりするので注意が必要です。
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