スーパーアロイの種類につきまして

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07.10.2020
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09.29.2020
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スーパーアロイ

スーパーアロイアロイとは、高Ni合金のことで
ニッケルの含有量が多い金属のことです。

『インコネル』『インコロイ』『ハステロイ』

『インコネル』


耐熱性重視
で1930年代に開発されていまして現在は
スペッシャルメタル社が引き継いでいます。インコネルは
INCO社の商標です。日本では大同スペッシャルメタルが
使用権を持って生産していたがスペッシャルメタル社との
合弁事業が解消され大同特殊鋼が引き継ぎ製造しています。

 

『インコロイ』


インコロイもINCO社の商標です。
インコネルより鉄ベースでステンレスに近いです。

 

ハステロイ

ハステロイはヘインズ社が開発した耐食性重視の材料で
日本では三菱マテリアル社が商標を使っています。

インコネル

 

INCONEL : Special Metal Corporation 社の商標です。
1930年にINCO社がINCONEL Alloy 600 を開発しました。

600番台:固溶強化型合金
700番台:析出強化型合金

インコネル600 Ni-15.5Cr-8Fe
 Ni基耐熱超合金(工業炉、半導体製造設備、原子力機器)
 溶接時の割れ感受性は低く、通常割れは発生しない。

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi6082

インコネル625 Ni-21.5Cr-9Mo-3.7Nb
 高強度耐食合金(海洋機器、船舶部品、熱交換器、航空機部品)
 溶接時の割れ感受性は中程度で適用実績が十分あるそうです。

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi6601

インコネル690 Ni-29Cr-9Fe
 高耐食耐熱合金(原子力機器、石油化学機器、石炭ガス化プラント)
 溶接には注意が必要。割れ感受性は中程度。

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi6052

インコネル718 Ni-19Cr-18.5Fe-5(Nb+Ta)-3Mo-0.9Ti-0.5Al
 高強度高耐熱合金(航空機部品、ガスタービン部品、極低温超伝導装置)
 溶接性は悪い。TIG溶接の実績はないそうです。

機械的性質
数値が大きい程、引き張強さが高い 焼入れ強化は活用できない

 

インコロイ

 

800,800H,800HT,825がある。
石油化学工業や原子力発電プラントの高温装置部材への使用例が多い
材料です。800の含有C量やAl+Ti量及び結晶粒度を調整して高温特性
向上させたのが800H,800HTです。

インコロイ800は593℃以下、800H,800HTは593℃以上での使用の
用途向けとASMEに記述されているようです。高い温度ですと800H
800HTで900℃前後で使用した例もあるようです。
(講習の資料に記載されています。)

 TIG溶接推奨溶接材料 
   インコロイ800 : SNi6082
   インコロイ800H : SNi6082 SNi6617(使用温度により使い分ける)
   インコロイ800 HT: SNi6625

インコロイ825は800シリーズにNi.Mo.Cuを添加して耐食性を向上させている。
Moを添加すると耐食性が向上するのですね。耐熱性と耐食性が要求される
プラント等に使用されています。

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi6625

ハステロイ

 

ハステロイB-2 Ni-28Mo
 非酸化性酸(塩酸、硫酸、酢酸、リン酸など)
 石油化学関係の塔

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi1066

ハステロイC-276 Ni-16Cr-16Mo-4W-5Fe
 酸化性酸、非酸化性酸などの広範囲の腐食環境で使用される
汎用的耐食合金鋼
石油化学関係の塔

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi6276

ハステロイC-22 Ni-22Cr-13Mo-3.5W-4Fe
 C-276の改良型合金
 石油化学関係の塔

 TIG溶接推奨溶接材料 SNi6022

ハステロイX Ni-22Cr-9Mo-18.5Fe
汎用的耐熱合金(耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性、高温温度良好)
航空機ガスタービン燃焼筒、アフターバーナー

 

スーパーオーステナイト系ステンレス

 

SUS312L.SUS836L.N08926.N08354.N08367

SUS312L 20Cr-18Ni-3.3Mo-0.8Cu-0.2N

SUS836L 23Cr-25Ni-5.5Mo-0.2N

N08354 23Cr-35Ni-7.5Mo-0.2N

食品関係の醤油タンク、塩みりんタンク
環境設備では屋根材、排煙脱硫装置

醤油タンクの設備屋さんがいっていました。
スーパーステンレスはよく割れが入るそうですよ。
チタンに出来ないかと打診されています。

 

まとめ

パテントの関係でややこしいですが、いずれのスーパーアロイは
溶接割れ感受性が高いので
高温割れ(凝固割れ)が生じやすく
溶接には細心の注意が必要です。

溶加棒はTIG溶接用として、インコネル、ハステロイは入手でき
溶接材料の成分は母材とほぼ同じです。

 

Ni基合金の溶接上の注意点の解説サイト

https://www.weld.nipponsteel.com/techinfo/weldqa/detail.php?id=27TLT46

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