チタン溶接技術解説
高価ながらも身近な存在、チタン
航空機、宇宙機器、オートバイ、ゴルフ用品、時計、そして最近ではキャンプ用品
にもよく使用されているチタン。特にゴルフクラブのドライバーでは、
複合素材からチタンへの回帰傾向が見られます。2021年のマスターズを制した松山英樹プロも、
フルチタンの方が感触が良いとインタビューで答えていました。
軽量で耐食性に優れるチタンは、素材の発色性を利用して虹色に美しく変色させた製品も
数多く存在します。当社では、この素晴らしい金属であるチタンの板金・溶接組立加工を行っています。
チタン溶接の難しさ
チタン溶接は、他の金属とは異なり、溶接時に酸素と融和しやすい性質があり、
これが溶接時の欠陥発生の原因となります。そのため、健全な溶接を行うためには、
以下の3つのシールド装置が不可欠です。
- トーチシールド装置
- アフターシールド装置
- バックシールド装置
これらの各装置には、シールド用のガス(通常はアルゴンガス)を多めに流す必要があります。
シールドの目的
- 溶接金属の表面および溶接金属近傍を大気から遮断し、酸化を防ぐこと。
- 溶接部および熱影響部を冷却すること。
特に、高温で溶接部および熱影響部が空気に触れると酸化し変色するため、
450℃以下になるまで冷却する必要があります。
この冷却は、トーチシールド治具とアフターシールド治具によって対応します。
バックシールド装置は裏波溶接に必要であり、形状に合った治具の製作が求められます。
ビートオンプレートの場合でも、酸化防止のためにはバックシールド治具が必要です。
溶接法
チタン溶接自体は、ステンレス溶接の経験があれば問題なく行えるでしょう。
溶融池も綺麗に形成され、湯流れも良好です。ただし、酸化させないことが最も重要です。
溶接の際は、ぜひパルス溶接をご利用ください。冷却機能があるパルス溶接は、
溶融池を冷却できるため、コンタミネーションを抑制することができます。
※コンタミネーションとは溶接部および周辺が酸化している状態の事
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