バイク部品修理

【アルミ溶接のプロが解説】WR250Rスイングアーム修理の舞台裏と高度な技術

【アルミ溶接のプロが解説】WR250Rスイングアーム修理の舞台裏と高度な技術

ものづくりだより458号

おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。

【はじめに】
今回は、LINE公式アカウントからお問い合わせいただいた、YAMAHA WR250Rのスイングアームの部品修理についてご紹介します。弊社では、バイク好きが高じてか、バイクの修理依頼を頻繁にいただきます。特に、アルミニウム溶接を必要とする高度な修理依頼が多く、弊社の技術力が試される場面です。今回の修理を通して、アルミニウム溶接の難しさと、プロの技術について深く掘り下げていきます。

スイングアームの一部が破損しています。

 

【破損状況と原因】
お客様からお預かりしたスイングアームは、ブラケットが溶接の根本から綺麗に破断していました。材質はアルミニウムであり、このクラスのバイクには珍しい高級仕様です。さすが、オフロード界のR1と言われているだけあって、作りも本気です。破損原因は、長年の使用による金属疲労と、オフロード走行による衝撃が考えられます。アルミニウムは、軽量で強度が高い一方で、金属疲労しやすい性質も持っています。特に、衝撃が加わる箇所は、定期的な点検とメンテナンスが必要です。

 

破損部分と溶接ビートを綺麗に除去

【修理内容】

【溶接箇所の清掃】
まず、元の溶接を綺麗に除去します。これは、新しい溶接の品質を高めるために重要な工程です。古い溶接が残っていると、新しい溶接との間に不純物が混入し、強度が低下する可能性があります。丁寧に研磨し、不純物を完全に取り除きます。

アセトン等で綺麗に清掃後溶接を行います。

【TIG溶接】
次に、TIG溶接という高品質な溶接方法を用いて修理を行います。TIG溶接は、アルミニウムのような熱伝導率の高い素材にも対応できるため、このような精密な部品の修理に適しています。TIG溶接は、アーク熱と不活性ガスを用いて溶接するため、スパッタ(火花)が少なく、綺麗な仕上がりが得られます。また、溶接中の温度管理がしやすく、精密な溶接が可能です。

溶接しにくい材料でしたが完了しました。

 

【溶接時の注意点】
アルミニウムは熱伝導率が高く、溶接が難しい素材です。特に、スイングアームのように強度が求められる部分の修理は、慎重な作業が必要です。今回は、低い電流値で丁寧に溶接を行うことで、強度を確保しました。アルミニウムは、溶接時に急激に温度が上昇し、溶け落ちやすい性質があります。そのため、熟練した技術と経験が必要です。弊社では、長年の経験と知識に基づき、最適な溶接条件を設定し、高品質な溶接を提供します。

【修理を通して感じたこと】
今回の修理を通して、お客様の愛車への熱い思いを感じることができました。また、アルミニウム溶接の技術をさらに磨く良い機会となりました。弊社では、お客様のニーズに応じた最適な修理方法を提案し、高品質な仕上がりを提供します。バイクの修理だけでなく、様々な金属加工に関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

【まとめ】
今回のWR250Rのスイングアーム修理を通して、アルミニウム溶接の難しさとプロの技術の一端をご紹介しました。弊社では、高度な技術と豊富な経験に基づき、お客様のニーズに応じた最適なソリューションを提供します。バイク修理はもちろん、各種金属加工に関するご相談もお待ちしております。

【編集後記】
もし、愛車の修理でお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

株式会社上村製作所
[電話番号]075-982-2931
[お問い合わせはこちら]お問合せページへのリンク
[ホームページURL]https://www.kamimura.co.jp
参考
YAMAHA WR250R


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