【無酸素銅C1020溶接】気密性と変形抑制の法則|高品質チャンバー製作の技術
ものづくりだより63号
【はじめに】
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。最近、無酸素銅C1020を使用した溶接加工品の製作依頼やお問合せが増えてきています。今回は、気密性と変形抑制が求められるチャンバーの製作事例を通して、弊社の高度な溶接技術をご紹介します。
【製品概要】
今回製作したのは、板厚2.0mmと3.0mm、L=650mm、200×150mmの無酸素銅C1020製チャンバーです。この製品には、高い気密性と、溶接変形を極力抑えることが求められました。
「高い気密性が求められるチャンバーの溶接箇所。熟練の技術で丁寧に溶接しています。」
【溶接の法則】
溶接距離が長いため、入熱管理が非常に重要です。溶接の始めと終わりで入熱量が変化し、溶け落ちが発生する可能性があります。
特に銅は熱伝導率が高いため、慎重な溶接条件の選定が不可欠です。
【溶接技術】
TIG溶接でパルス制御を行い、シールドガスにはアルゴン+ヘリウムガスを使用しました。これらの技術により、入熱量を細かく調整し、溶接変形を抑制しながら、高品質な溶接を実現しました。
【無酸素銅C1020の特徴】
無酸素銅C1020は、酸素含有量が極めて少ないため溶接性に優れています。しかし、材料が高価で価格変動も大きいため、調達・保管には注意が必要です。
【銅の種類と溶接性】
- タフピッチ銅C1100:水素脆化が発生しやすく、溶接には不向きです。
- リン脱酸素銅C1220:脱酸処理により水素脆化が起こりにくく、溶接可能です。
無酸素銅C1020は、これらの銅と比較して、さらに高い溶接性と気密性を実現できる材料です。
【銅製品の取り扱い】
銅製品は非常にデリケートなため、素手での取り扱いは厳禁です。酸化防止のため、取り扱いには細心の注意が必要です。弊社では、熟練の技術者が丁寧に製品を取り扱っています。
【表面処理】
溶接後、無電解ニッケルメッキを施し、美しい仕上がりと耐食性を向上させました。
【現在の弊社の技術】
2017年の記事公開後、弊社の技術はさらに進化し、無酸素銅C1020をはじめとする多種多様な素材に対応する板金加工技術と高度な溶接技術を確立しています。お客様の多様なニーズにお応えできるよう、常に技術の向上に努めています。
【まとめ】
無酸素銅C1020の溶接は、高度な技術と経験が求められます。弊社では、長年の経験と確かな技術で、お客様のニーズにお応えします。銅製品の製作に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。お客様の製品に関する困りごとを解決しビジネスに繋がるよう高品質な製品をご提供いたします。
[お問い合わせはこちら]株式会社上村製作所
[電話番号]075-982-2931
[ホームページURL]https://www.kamimura.co.jp
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一般社団法人 日本銅センターさんのホームページ
無酸素銅溶接品
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