【アルミフレーム溶接修理|GSX-R400修復の全工程】
ものづくりだより467号
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。
今回は、LINE公式アカウントを通じてご依頼いただいた、GSX-R400のアルミフレーム補修事例をご紹介します。GSX-R400は、多くのライダーに愛される名車ですが、長年の使用によりフレームに亀裂が入ってしまうことがあります。今回は、そんな愛車を大切にするオーナー様からの修理依頼に、当社の技術を結集して対応しました。
これがフレーム本体
【ご依頼内容とフレームの状態】
ご依頼内容は、「大切にされていたバイクを整備していたら、エンジン取付部のマウントにクラックが入っているのを見つけた」というものでした。実際にアルミフレームのクラック箇所を浸透探傷試験で確認してみると、かなり深くまでひび割れが延伸していることが判明しました。
クラック箇所の浸透探傷試験の様子。クラックが深く伸びているのが分かる。
【アルミ鋳物溶接の難しさ】
アルミ鋳物は、板材に比べて強度が低く、溶接が非常に厄介です。理由は、材質内に不純物が多く含まれているため、溶接には高度な技術と経験が求められるからです。特に、GSX-R400のフレームのような古いアルミ鋳物は、材質の劣化も考慮する必要があり、より慎重な作業が求められます。
【修理の工程】
- クラック部分の除去 まず、超硬バーを用いて、クラック部分を完全に除去します。写真にて確認できるように、クラックはかなり深く入っていました。
超硬にてクラック部分を除去
2.TIG溶接 ひび割れを除去後、TIG溶接を低電流にて肉盛り溶接していきます。アルミ鋳物なので、低い電流で溶接するのがコツです。電流が高すぎると、母材を溶かしすぎてしまい、強度が低下する恐れがあります。当社の熟練した技術者が、最適な電流と溶接方法を選択し、丁寧に作業を進めます。
TIG溶接が完了しました。
3.仕上げ 全体に肉盛り溶接ができ、取付に干渉しそうなビードを除去して作業は完了です。溶接後の歪みを修正し、強度と精度を高めます。
【オーナー様の徹底した整備体制】
オーナーさんは、フレームの溶接部分を浸透探傷検査されていたことも判明し、その徹底ぶりに感銘を受けました。ご自身で分解・組立ができる高い技術をお持ちの方です。大切なバイクを長く乗り続けるために、定期的なメンテナンスと早期発見・早期修理は非常に重要です。
【まとめ】
今回は、GSX-R400のアルミフレーム修理の事例をご紹介しました。古いバイクを大切に乗り続けるためには、定期的なメンテナンスや修理が欠かせません。弊社では、お客様の愛車を長く乗り続けていただけるよう、様々な修理に対応しています。アルミフレームの溶接修理はもちろん、様々な金属加工に関するご相談を承っております。お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
株式会社上村製作所
[電話番号]075-982-2931
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参考
1988年式 SUZUKI GSX-R400 GK73A
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