【チタン溶接】軽量・丈夫なチタン鍋を製作!溶接のポイントと注意点を解説
ものづくりだより161号
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。
今回は、純チタン2種TP340CP(板厚1.0mm)を使用して、直径180mmの鍋を製作した事例を
ご紹介します。キャンプに持参する為の道具です。
【材料と用途】
材料:純チタン2種TP340CP T=1.0mm 用途:製品製作時の端材を活用し、
オリジナル鍋を製作
チタンは、軽量で丈夫なため、少々の衝撃ではへこむことがなく、鍋の素材として最適です。また、
熱伝導率が低いため、沸騰したお湯が入っていても素手で取っ手を持つことができます。
【溶接方法】
鍋の製作で最も重要なのが溶接です。チタンは高温で酸素と結合しやすいため、溶接部を
大気から遮断する必要があります。以下の3つのシールドを適切に行うことが、高品質な溶接のポイント
です。
- アークシールド(溶接時のアークを保護):TIG溶接機を使用し、溶接時のアークをアルゴンガスで
保護します。 - バックシールド(溶接裏面を保護):溶接裏面もアルゴンガスで保護し、酸化を防ぎます。
これが一番面倒な作業です。 - アフターシールド(溶接後を保護):溶接後、チタンが一定温度以下に下がるまでアルゴンガスで
保護し、酸化を防ぎます。
チタン製お鍋キャンプに持っていけます
【注意点】
特に、チタンは高温で酸素と結合しやすいため、溶接後も一定温度以下に下がるまで
冷却する必要があります。そのための役目がアフターシールドです。冷却が不十分だと、溶接部に
不純物が混入し、品質が低下する可能性があります。
【今回の結果と反省点】
今回は、アルゴンガス濃度が若干不足していたため、溶接部にわずかに
コンタミネーション(不純物混入)が見られました。しかし、裏波は綺麗に出ており、チタン溶接の
難しさと面白さを改めて実感しました。鍋の内側にアルゴンガスを充填する量が少なかったため、
内側が酸化気味になってしまいました。
アフターシールドの角度によりシールド具合が‥
【まとめ】
今回の経験を活かし、今後はアルゴンガス流量の調整など、改善策を検討し、より高品質な
チタン製品の製作に挑戦していきたいと考えています。チタン溶接は専門的な知識と技術が必要です。
安全のため、必ず専門家にご相談ください。
株式会社上村製作所
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