【高精度・大型ステンレスTig溶接治具製作の舞台裏】
ものづくりだより346号
【はじめに】
おはようございます。溶接管理技術者の上村昌也です。
今回は、新規のお客様からご依頼いただいた、TN-F検定用溶接治具の製作事例をご紹介します。標準仕様ではなく、ステンレスTig溶接長450mmに対応するハードスペックという、非常に難易度の高いご依頼でした。
【長尺治具製作への挑戦】
これほど長い溶接治具の製作経験は、正直なところ、私たちにもありませんでした。しかし、お客様のご要望にお応えするため、まずはSS400で性能試験用治具を製作し、検証を重ねることにしました。
- 性能試験用材料:SS400 t=6.0 180×450
- 工法:Tig溶接
- パラメーター:
- 電源装置:Panasonic YC-300BP4 DC
- 溶接電流:120A
- 溶加棒:TG-S50 2.0mm
- シールドガス : Ar
- バックバス : Ar
- 開先角度 40°
【試行錯誤の末に見えた光明】
試験材料の様子
試行錯誤の末歪みなく溶接が完了
試験の結果、両サイドと中央の3箇所仮付けでは、予想以上の歪みが発生しました。そこで、仮付け箇所を7箇所に増やし、ルートギャップを2mmに調整、裏波量を増やしたところ、変形を大幅に抑制することができました。
この結果を基に、いよいよステンレスでの本番製作に着手しました。ここで最大の課題となったのが、シールドガスを全体に均一に行き渡らせる技術です。シールドが不十分だと、裏波に欠陥が生じ、曲げ試験で破断してしまう可能性があります。
【長尺ステンレス溶接、裏波制御の極意】
標準仕様のシールド工法を応用し、長尺材に対応できるよう工夫を凝らした結果、無事に治具が完成しました。実際の試験材料5mmで実機試験を行ったところ、懸念していた裏波も良好な状態となり、安堵したのを覚えています。
一層目の様子
いよいよ試験開始
表面のビート
「美しい裏波」
その後、表面仕上げを行い、お客様のもとへ発送。
【まとめ】
今回のTN-F溶接試験用特注治具製作では、長尺ステンレスTig溶接における歪み対策、裏波制御など、高度な技術と経験が求められました。私たち上村溶接工業は、どのような難題にも果敢に挑戦し、お客様のニーズに最適なソリューションを提供いたします。板金加工・溶接に関してお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
株式会社上村製作所
[電話番号]075-982-2931
[お問い合わせはこちら]お問合せページへのリンク
[ホームページURL]https://www.kamimura.co.jp
参考
#アルミ溶接 #修理 #アルミフレーム溶接
◎LINE公式アカウントからのお問い合わせ
著作権及び免責事項:
本記事の内容の詳細については、「免責事項」ページをご確認ください。
Copyright© 2025 KAMIMURA corporation All rights Reserved.
当サイトに関わるあらゆる著作物・知的財産は株式会社上村製作所 上村昌也に帰属します。無断転載禁止
コメント